「なぜ子どもを受け入れないのですか?」
ありがたいことに、リニューアルをすると決めてから
お子様のご宿泊について、現在までたくさんのお問い合わせをいただいております。
2019年8月のリニューアルにあたり、私たちは
「小学生以下のお子様の受け入れをしない」という選択をしました。
しかしながら、これは、簡単に出した結論ではありません。
すでに私たちには、20年前に旅館が「御宿 竹取物語」としてリニューアルをしたときから
”大人の方限定の宿にしたい”という希望があったのです。
けれど、ご愛顧いただいている常連の方々のお顔、お子様たちのお顔を思い浮かべると、
どうしてもその決断ができませんでした。
なぜ、大人限定の宿にしたかったのか。
それは、私と主人自身が
心から「二人で行きたい」と思える宿、
心からくつろげる宿をつくりたかったからです。
私たちは、三人の子供を生み、育ててきました。
そして、彼らはみんな成人を迎え、大人になりました。
そんな今、私が主人と出かけたい宿は、どんなところだろう?
緑がゆたかで、暖かな静けさがあって、時間が流れるのを忘れてしまうような
自分が、本当の自分に還れるような、そんな場所。
主人と二人、椅子に座って外を見て、コーヒーを飲んで、ただそれだけで幸せを感じられる場所。
いまの竹取物語は、そういう場所になっているのだろうか。
どうすれば、そういう場所をつくれるのだろうか。
料理長の息子、そしてスタッフもあわせ、何度も何度も話し合いを重ねました。
ある日、息子が言いました。
「お父さんとお母さんの、心からの夢を叶えようよ」と。
私も、主人も、そしてここにいるスタッフも、お子様が大好きです。
ご宿泊者のお子様からいただいたお手紙やイラストは、何より大切な私たちの宝物です。
けれども、とても正直に、本当の言葉を言わせていただきます。
私たちは、どうしても私たちの夢を叶えたかったのです。
いままでご愛顧いただきましたお子様連れのお客様には
ご不便をお掛けしまして、誠に、誠に、申し訳ございません。
でも、長い長い人生の中、いつかまたタイミングの合ったときにお会いできると
私たちは信じております。
還暦を過ぎた主人と、私の最後の挑戦、20年越しの夢を、
皆様に応援いただければ幸いでございます。
ご理解のほど、何卒宜しくお願い申しあげます。
長文のおしらせとなり、大変失礼いたしました。
御宿 竹取物語
女将 浅見礼子